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新しいワインリストを作成中

先月から、新しいワインリストの作成に取り掛かっています。
というのも、ワインリストって、半年もたった頃から、だんだんビンテージが変わってきて、
ものによっては、今シーズンはもう終わりで、来シーズンまで入荷がないワインとか出てくるのです。
そうなってくると、毎年「そろそろワインリストの替え時かな」
ということになります。

でも、この作業が、本当に本当に面倒くさいんですよ。
というのも、ワインは、ワインのデベロッパーから仕入れるのですが、
ワイナリーによっては、直接ワイナリーと契約をしないといけないところもあって、
結局、会社とワイナリーを含めて10件くらいと契約をしているんですね。
当然、ワイナリーとの直接契約の場合は、そのワイナリーのワインしか購入できないんですが、
ワインのデベロッパーと契約すると、いろいろなワイナリーのワインを扱ってますから、いろいろなワインを一度に発注できて便利。
だけど、スーパーマーケットで売ってるようなワインはチープなイメージがあるので、
できるだけワインリストには入れたくないのです。
だからといって、いくら美味しいからといって無名のワインを入れても、
それはそれで、全然売れないのです。
ほんと、難しいです。

すべてはソムリエがいたり、もしくは私がソムリエようにワインをお勧めできたら、
無名でも美味しいワインを売ることが出来るのですが、
その能力がない以上、ソムリエの助けがなくても、
お客様が自分で自分の飲みたいワインを選べるワインリストを作らなくてはいけません。

というわけで、一件一件のワインのポートフォリオを見て、
どこのワイナリーの、どのブドウ品種のワインをリストの入れるか決めていきます。

ワインの選定もさることながら、値段の調整と、産地の調整も本当に大変です。
だって、「これを入れたいな」と思う3種類のワインがあったとして、
その仕入れ値が全部同じ金額で、産地も全部同じだったら、
お客様は、どのワインを注文するか、きっととても悩んでしまうと思うんです。
だって、「値段」と「産地」って、ワインを決める際の大きなポイントになると思いますからね。
なので、できるだけ産地にばらつきをだして、なおかつ値段にもばらつきを出して、
バランスの良いワインリストを作るようにしているので、
これが結構本当に大変な作業になるのです。

毎年この時期がくると憂鬱になり、
「やらなきゃやらなきゃ」と思いながら、一番後回しになる仕事です。

例えば、ブドウ品種は、以下のように
Sauvignon Blanc
Chardonnay
Pinot Gris
Riesling
Rose
Pinot Noir
Syrah
Merlot
とおおまかに8種類あるのですが、
(うちのワイリンリストには12種類ある)
あるワイナリーのワインをリストに入れたいと思った時に、
そのワイナリーのどのブドウ品種のワインを入れるか決めなければいけません。

例えば、ワインリストに入れたいSauvignon Blanc が3種類あったとして、
それが全部Marlborough産で、仕入れ値も全部$20だった場合、
産地と値段をもっとばらしたいと思う訳ですね。

で、調整して、3種類のSauvignon Blancを
Marlborough産 $15
Nelson産 $20
Central Otago産 $23
みたいな、値段と産地のバランスの取れたセレクションにしていくのです。

これを、全ブドウ品種で同じような作業を繰り返し、
しかも、そのあとに、どれをグラス売りするか、どれをボトル売りのみにするかを決めるのですが、
どのワインをグラス売りにするかで、ワインの販売本数は飛躍的に変わります。
グラス売りをするワインは、ボトルでしか販売しないワインの5倍~10倍の売上があがるのです。

とまあそんなわけで、重い腰をあげて、やっとワインリストに手を付けました。
というのも、最近、店の近くにあるワインデベロッパーを常連さんに紹介され、
そのデベロッパーの人が、とても熱心にいろいろなワインを紹介してくれるのです。
そして、そのデベロッパーから仕入れるワインはすぐに決定したものの、
それに伴う他のワインの調整がまったく手つかずで、
「ワインリストどうなってる?なんかあったらいつでも言ってね!」
と、毎週のように電話がかかってくるんです。

ほんと、私ってだめなやつで、やりたくないこと(面倒くさいこと)は、
本当にお尻を叩かれないと、なかなか重い腰を上げることができないのです。

うちの店にソムリエがいたら、全部一任してやってもらって、
こんなにラクなことはないんですが、ソムリエもいないし、
なにが苦痛って、私、ワインにそんなに詳しくないんですよ。
そんなに詳しくないのに、何百本ものワインから、数十本のワインをセレクトするって、
本当に本当に大変な作業なのです。
まずは50本くらいに絞って、そこからは、値段と産地と評価とにらめっこしながらの作業ですが、そこまで辿りつくまでの仕事量が気の遠くなるほどなのです。
ソムリエさんだったら、そういう作業がきっととっても楽しいものなんでしょうね。

そんな私でも、うちの店では、一番ワインについて詳しいのです。
だから、私がするしかないのです。
毎回「ワインに詳しい人、もしくはワインが好きな人」と求人に書くのですが、
そういう方が来たことは一度もありません。
うちのスタッフ、ワインに詳しいどころか、私以外、全員お酒飲まないし、
飲んだとしても、「酒ならなんでも」ってやつです。

せめてワインに興味がある人ならね、私の雀の涙ほどの知識なんて、
惜しげもなく分け与えるのですが、
興味のない人には、それこそ、それが日本語か英語なのかも分からないってのがワインというものですよ。

全部お任せじゃなくても、せめて一緒にワインリストを考えてくれる人がいれば、
私ももう少し気が楽になって、悩まずに済むんですけどね。
だって、悩み事や問題点って、「話す」ことで糸口が見つかったり
解決に近づけたりすることってありませんか?
ワイン選びも同じだと思うんですよね。
ワインについてあれこれ話しながら決めて行ったら、あっという間の作業だと思うんですけど、
一人でやるとなると、悶々としている時間の方が長いのです。

というわけで、悶々としてきたので、こうしてブログを書いているという訳です。

最後に、新しく契約したデベロッパーと記念撮影。
彼、ドイツ人なんだけど、あまりに綺麗なお顔だったので、
最初ゲイかと思ったんですけど、奥さんと子供いるみたい。
仕事熱心で、とても素敵な人です。
元々はドイツのホテルのレストランでソムリエをしていたそうですよ。

うちの店は、ソムリエほどレベルが高い人じゃなくていいので、
せめてワインが分かる人(せめてワインのコルクが開けられる人)
欲しいなぁ。

そして、ワインリストの変更に伴い、
他のドリンクも多少変更します。
だって、同じ刷りなおすならいっぺんにやらないと印刷代がもったいない!

というわけで、日本酒のテイスティングもしたりして。

好きな味か、あんまり好みじゃないか。
っていう程度しか分からないなぁ。

でも、実は、自慢じゃないですが、
ものすごく多くのお客様から
「このワインリストいいねー。誰が作ってるの?」
って、しょっちゅう聞かれるのです。
私程度のワイン知識しかない人間が、
お客様から褒めていただける仕上がりのリストを作ってるって事は、
案外、私、センスあるのかも???
なんて、調子に乗ってます(笑)

 

yoko:
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