昨日は、お客様からの一言に感動した出来事がありました。
コース料理で出しているお料理で、
「白身魚の蒸し物、エビの天婦羅添え、椎茸のお出汁、温泉卵と共に」
というものがあるんです。

ちょっと、この写真は、角度が悪くて、肝心な「白身魚」が写ってないんですが、でも、まあ、こんな感じのお料理です。

昨夜、コース料理をご注文になって、このお料理を召し上がったお客様が、お皿をおさげする時に、このように言ったのです。

「まるで茶碗蒸しの再構築だったわ!でも、私の大好きな茶碗蒸しよりも美味しかった!」

「再構築」って、多くのファインダイニングで取り入れられている「料理の表現方法」の1つなのですが、簡単に言うと、もともと「ある料理」に使われている材料を使って、まったく違うものに作り替えることを言います。

「料理の分解・再構築」と言われていて、例えば、皆さんもご存知のデザート「ティラミス」を分解・再構築しようとした場合、もともとのティラミスの原材料である「マスカルポーネ」「エスプレッソ」「ビスキュイ」「カカオパウダー」を使って、まったく別のデザートを作るようなことを言います。
でも原材料は同じなので、口の中ではティラミスみたいな味がすると思うのですが、原材料だけ同じでも、その状態がムースだったり、ゼリーだったり、アイスクリームだったりすると、味は同じでも、食感の違いが斬新で、新しい経験ができる。というものです。

確かに、この、うちの店で出している「白身魚の蒸し物」の原材料は、ほぼすべて「茶碗蒸し」と同じ。まったく違う料理だけど、同じコース料理の中で、この料理と茶碗蒸しを一緒に出すことは避けています。
でも、「茶碗蒸しの再構築」とは考えていなかったし、まさか、外国の方の口から「茶碗蒸し」という言葉が出るとは思わずに、とても驚いてしまいました!
なんでも、その方、日本で茶碗蒸しを食べて、その美味しさに感動したんだそうです。
それで、うちのメニューに茶碗蒸しがあるから、コース料理とは別で追加注文しようかどうしようか悩んでいたらしいんですが、まさかそのコース料理の中で「茶碗蒸しの再構築」に出会えるとは!と感動してくださったんだそうです。

むしろ、私もダンナも、あの「白身魚の蒸し物」を、「茶碗蒸しの再構築」などと考えてもいなかったし、このようなとてもカッコいい表現をしてくださったお客様に感激。
まさに「目から鱗」でした。
作っている本人すら意識していなかったわけですから!

この「分解・再構築」というのは、日本のファインダイニングではよく見られるのですが、英語では「ディコンストラクト」と言います。
既存の料理を、「ディコンストラクト」する、つまり一度解体し、再構築するのです。

私がニュージーランドで食べた「ディコンストラクト」を1品紹介しましょう。
こちら、「KAZUYA」のタルトタタンです。

タルトタタンですが、タルトはなくて、リンゴの後ろに見えるアイスクリームが、「タルトの味のアイスクリーム」になってます。
一緒に食べると、口の中でリンゴのタルトの味になるのです。

次に、日本で食べた「ディコンストラクト」を紹介します。
こちら「TAKAZAWA」の、「トムヤンクンの再構築」です。

トムヤンクンの材料が並べてあって(しかも佐渡の活き甘えび)、
それに、添えてあるスポイトの中にあるスープをかけて食べると、
口の中でトムヤンクンになるのですね。

もう一品。
こちらも、TAKAZAWAの料理で「ショートケーキの再構築」です。

ドライアイスがはいった器を開けると。。。

中には、イチゴと、スポンジケーキの味のアイスクリーム、生クリームのパウダーが入っています。
これを全部一緒に食べたら、口の中で「イチゴのショートケーキ」になるわけですね。

とまあ、こんな感じで、ちょっと未来的な感じがする料理ですので、うちの店では、やろうとも思ったことがないんですが、それなのに、お客様から「茶碗蒸しの再構築」という素敵な表現をいただけて、本当に光栄です。
他のファインダイニングが意識して作り上げているようなレベルのものではないんですが、なんかちょっと「再構築」に片足を突っ込んだような感じがして、嬉しかったです。

いや、でも、英語って、日々、お客様との会話からいろいろ学んでいるんですが、やっぱり、「英語での表現」っていうのは、人がなんて言っているのかを聞いて学ぶ部分が多いですし。なんか、今回は、とても良い表現を学んだなぁ。と思いました。

外国人のお客様の口から「茶碗蒸し」という日本料理の名前が出てきたことにも驚いたし、白身魚の蒸し物と茶碗蒸しに使われている材料がほぼ同じということに気が付いたことにも驚いたし、更に、それを「ディコンストラクト」という表現をされたことにも驚いたし、本当にビックリビックリな出来事でした。
だから、この仕事って、面白いんだなぁ。と思います。

でも、私がたまたま「料理のディコンストラクト」を知っていたので、この有難いお客様の表現を拾うことができましたが、アルバイトの子だったら、きっとこの表現を知らなくて、スルーしてしまっていたかもしれない。。。と思うと、あの時、あのテーブルを偶然サーブしていたのが私だったのも、本当に奇遇で幸運なことだったと思いました。

あとで、他のスタッフと、情報を共有して、みんなで「へーーーー。すごーーーい!」って言ってました。
私もスタッフも、日々勉強ですね!

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