昨年、コロナのロックダウンで大打撃を受けている真っただ中、事前に予定されていた通りに、しれっと最低時給があがったのですが、今回、国境が開くプランは発表されたものの、全然景気回復の兆しが見えていないこの渦中に、またもや最低時給があがるとのニュースが入りました。政府にしてみれば「予定通り」なのかもしれませんが、世の中がこんなに混沌とした状態にあるのに、最低時給だけは予定通りに上げていくのは正直どうなのかと思うところではあります。

今回の最低時給アップは4月1日からとなりますが、$20から$21.2 に上がります。日本では考えられない上昇率ですよね。東京は、昨年28円最低時給が上がりましたが、おととしは上がっていないので、2年で28円上昇しただけということになります。
それが、NZではどのくらい上がっているかと言うと、下の表のとおり。

2017年 $15.75
2018年 $16.50(+$0.75)
2019年 $17.70(+$1.20)
2020年 $18.90(+$1.20)
2021年 $20.00(+$1.1)
2022年 $21.20(+$1.2)

5年間で$5.45も最低時給が上がったんです。日本円で言ったら約420円ほど上がったことになります。最低賃金が、時給約1,600円ということですよ。すごい金額だと思いませんか?なんのスキルも経験もない人でも、一番安い賃金でこれだけもらえるのです。

でも、一番の問題は、最低時給が高すぎて、実際に能力や経験があっても、最低時給で働く人がとても多いという現実。でも、黙っていても毎年勝手に時給が上がるので、雇用主としては、昇給させる必要もないのです。でも、それって、働き手にとって、そんな理不尽なことはありませんよね。なんの努力もしないスタッフと、努力をしているスタッフが、黙っていても毎年一緒に時給が上がるんですから。
なので、うちの店では、研修期間が終わったら、すべてのスタッフは能力に従って昇給する「能力別時給システム」を実施していますが、一般のレストランでは、マネージャー以外のスタッフ全員最低時給で働いているという店も少なくありません。

なので、うちの店の場合は、この最低時給のアップによって影響を受けるスタッフはいないのですが、それでも、自分たちが頑張って昇給していっているというのに、世間では、全然頑張らなくても自動的に時給が上がる人がたくさんいることの理不尽さについて、「ヤル気の搾取に繋がる」と話していました。最低時給が上がって喜ぶ人がいる反面、このように感じている人もきっと多いと思います。

そして、最低時給が働いている人が多いと言われているホテルや飲食などの観光業界は、このコロナで本当に倒産の一歩手前というところも多いはず。なのにここでこうやって最低時給が上がることは、本当にそういった業界の、最後のトドメに首を絞めることにもつながります。

今回の最低時給アップによって、例えば週40時間働いている人であれば、年間$2,500賃金がアップするそうです。日本円にして、年間約20万円の昇給となります。

政府は、この最低賃金を上げることによって、税収のアップにつながりますが、経営者は本当にしんどいばかり。そして、この状況下、じゃあどうするかと言えば、人員削減(誰かが解雇になる)か、販売価格を上げる(物価が上がる)という手段しかなく、もはや「最低時給が上がっても、頑張って、スタッフも維持して、商品も値上げしません!」なんていう体力が残っている会社、もうほとんどないと思います。

と、去年の最低時給アップの時も、各方面からこのような声が上がっていましたが、今年も最低時給アップに踏み切った政府。
他のことはコロナの影響で色々延期になるのに、これだけは延期しないんですね。
ま、わたしたちはそれに従うしかありませんが、どうか、これが、反対に国民の生活を圧迫することに繋がらないことを願います。

キミもどこかで稼いできてよ。

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