さて、シドニー初日の夜は「Raita Noda Chef’s Kitchen」を予約していました。このお店は、カウンター席のみで、時間も19時のみ。全員一緒に来店して、一緒にスタートして、シェフのRaita さんが次々と目の前で料理を作っていく。という、いわゆる「Chef’s Table」と言われるスタイルのお店です。

このお店に行きたいと思ったのは、13年前にシドニーに来た時に「Ocean Room」という日本食とは思えないレストランがあって、そこでおまかせコースをいただいて、色々とっても勉強になったからなんです。「シドニーってすごいなぁ」と感動したことは今でも忘れません。
その、Ocean Room が区画整理かなにかで閉店することになり、そこのレストランのヘッドシェフをしていたRaita さんが、もっと小さい箱でできる店を。ということで始めたのが、この「Raita Noda Chef’s Kitchen」だったのです。

わたしたちも、夫婦ふたりでできるような小さい箱で店をやることが望みでしたが、なぜだかどんどん大きい箱になっていって、どんどん自分を追い込んでいます。そんなわたしたちの夢を叶えるようなサイズのこのお店で、Raita さんがやっているレストランに、ぜひとも行ってみたかったのです。13年前に、今わたしたちがやっているような料理をすでに出していたRaita さんですから、今、どれだけ進化しているのか、とても楽しみにしていました。
しかも、うちのお店は、オーストラリアからのお客様がとても多いのですが「シドニーのRaita の店に行ったことがあるか?」という話を何度も聞くのです。やはり、今でも活躍されていることは、ここクィーンズタウンでも耳に入っていたのです。

そしてやってきた「Raita Noda Chef’s Kitchen」。住宅街にあるアパートの一階のような場所で、入り口でインターホンで名前を告げて、エントランスをあけていただく感じでした。中に入ると、ロビーには他のお客様もいて、19時までそこで待機です。全部で9人。2,2,2,3人の4組でした。

店内はこんな感じで、ずらっとお酒が並んでいます。
でも、本当に「元バー」だったところをレストランとしてい使っている感じで、ここしか収納がなくて、ここだけのスペースで料理をするんですよ。二人体制なのですが、どんなに忙しくても3人いたら邪魔。って感じのコンパクトさ。でも、毎回同じ人数しか入らないから、忙しさはいつも同じで、二人で上手に回している感じがしました。

カウンターに9人座るのですが、ラッキーなことに、わたしたちはど真ん中。つまり、料理を盛り付けるのを目の前で見られる特等席。予約したのが早かったからかな。でも、絶対に真ん中の席がお勧めです。真ん中じゃないと料理を盛り付けている様子が見えません。

2人は阿吽の呼吸で、次々と料理の盛り付けをして、サーブして、皿を洗って、次の料理の準備をして。。。と進めていくのですが、これだけ腹心の部下がいるということは、この店の「宝」だな。と思いました。ひとりではできません。一緒に同じ志を持ってやってくれる人がいるかどうかっていうのは、お店を成功させる上で、もっとも大事なことです。

今回の来店は、13年前のOcean Room での経験があったからですが、それから13年でRaita さんの料理がどれだけ進化しているのか、とても楽しみにしていました。でも、それって、ものすごく高いハードルですよね。期待しているお客さんを裏切らない、むしろ期待通り、いや、期待以上を提供するって。ダンナは毎日の高級レストラン巡りに少々飽きて来ていて、そのダンナを満足させるのって、更にハードルが高いと、このお店を選んだわたしとしては、少々緊張気味でした。今回のレストラン選びは、ほぼわたしに一任されていたので、「今日行くのはどんなところ?」と毎回聞かれ、今回も、ほぼ寝られなかった飛行機から、疲れ果てて昼過ぎにホテルにチェックイン、昼寝していたところを無理矢理起こしてのディナーでしたから、決してご機嫌がいいわけではありません。

でも、そのダンナの不機嫌と疲れを吹き飛ばすような一品目。「う~ん。これは」と唸りました。

カクテルグラスにお茶をそそいで、冷たいお茶漬けが一品目。
美味しすぎて、目が覚めた👀

一品目が美味しいと、このあとの料理への期待がさらに大きくなりますよね。

自家製明太子が乗ったトースト。
なんだこれ。めっちゃ美味しいんですけど。パンもヤバい。
2品目まで食べて、このクオリティであれば、もうあとは、シェフに身を委ね、出されるものを食べるのみ。絶対に美味しい料理が続くことを、この時点で確信しました。

どれもこれも、とても手がこんでいて、見た目が美しいだけじゃなくて味も美味しい。きちんと「美味しいものの方程式」をしっかりと理解している料理人の作品です。
NZあるあるですが、見た目が美しいだけで味は普通なことが8割。本当に美味しいのは2割だけ。しかも、その2割よりも美味しい料理が次から次へと出て来て、もう、なにを出されても、「絶対に美味しい」ことを確信して料理を待てる、この安心感。

そして、遊び心も忘れないのがRaita さんです。それはOcean Roomのころから感じていました。

串焼きを作っているんだと思っていたら、まさかの刺身でした。すべての魚にそれぞれの味付けがされていて、醤油なしで、そのまま食べるようになってるんですが、どれも美味しかったです。

そして、魚、肉、握りと続いて、最後のデザート。
これも美味しくて感動しちゃいました。和食ってデザート弱いんですけど、他の料理に引けを取らない完成度。

写真だと分かりにくいですが、作る工程をみていると、中にクリームを巻いたスポンジ生地が入っているんですよ。ショーケーキをもう一段階上の次元に昇華させた感じ。

まあ、とにかく、すべての皿に大満足。よくある「当たりはずれ」は一切なし。
今回のオーストラリアで行ったすべてのレストランの中で、ナンバーワンの満足度でした。
日本で「TAKAZAWA」に行った時の感動を思い出したなぁ。
あそこも、シェフが作ってシェフがサーブして、奥さんが1人でホールを切り盛りしているんですよね。一皿一皿の美しさ、美味しさ、楽しさ、そして驚き、感動。久しぶりに、本物のシェフが作る料理を食べた気がしました。

(つづく)

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