巽になるために待っててくれた店


私たちは、年内くらいはオークランドのレストランを食べ歩いて、オークランドを知ることからはじめよう。
という計画でいました。
なので、とりあえず二人ともオークランドで仕事して、新しい店は来年くらいから。。。と思っていたのです。

ところが、オークランドにきて、まだ10日ほどしか経っていないある日、
クライストチャーチの友人と飲みに行った先で、出会いがあり、
とある物件を見に行くことになりました。
正直、あまり興味がなく、というよりも、オークランドにきたばかりで、いきなり始める気はなかったので、
まだ物件を見に行くどころか、探してすらいなかったのです。

まあ、飲みの席でのことですし、とりあえずお付き合いで一度見に行ってみて、
「今後の参考にでもしよう」程度のことしか考えてませんでした。

ところが、見に行ってびっくり、場所は考えたこともなかったニューマーケット。
しかも、一等地です。
外からみたら小さい店ですが、中にはいったら、驚きの広さ。
オープンキッチンで、50~70席くらいはありそうです。
新しい店ではありませんが、とにかく店のつくり自体が、かなりかっこいいのです。

クライストチャーチの巽のときに、
「こんな店だったらかっこいいよね」といっていたものが、そこにあり、
しかも店内も、何料理でもできそうなモダンな内装。
まさに、私たちが考える「理想の店」がそこにあったのです。

「この店欲しい」

私とダンナの二人が確実に同じことを思いました。
でも、問題は値段と家賃。
ビジネスを買うので、なんでも揃ってはいますが、
巽として再生するためには、ある程度手を入れて改装しなくてはなりません。
費用の捻出方法、そして、OPENして家賃を支払っていくことが出来るのか。
ふたつ返事で購入できるほど小さなビジネスではありません。

そもそも、私たちは、オークランドにきたら、
20~30席くらいの、あまり人を雇わずにできるような、こじんまりとした店をやりたいと思っていました。
もちろん、予算の関係もありますし、人の問題もあります。
なのに、今、目の前にあるのは、クライストチャーチの巽と同じか、もしくはそれよりも大きいくらいの店舗。

大きすぎる。。。
この大きさは、もちろん家賃へも直結です。

小さく始めれば、リスクも小さくて済みますが、
大きく始めれば、うまくいかなかった時のリスクも大きくなります。
そして、万が一、店がうまくいかなくなった時、自腹で払えるような家賃ではありません。

多くの人に相談し、そして多くの人に「やめたほうがいい」と言われました。
その理由は、やはり店の大きさと家賃の高さです。
もし、これがクライストチャーチの物件だったら、わたしたちは迷わなかったと思うのです。
でも、新しい土地で、新しく始める店にしては、ちょっと贅沢すぎる物件だということは、
私たちにも十分すぎるくらい分かっていました。

それでも、あの物件を他の人に取られたら。。。と思うと、やはり悔しい。
だったら、多少無理してでも、自分たちが手に入れるべきではないのか???
毎日、葛藤が続きました。

「もっと他の物件も見てみたら?」と何度も言われました。
でも、他の物件をどれだけ見ても、ここよりも安い物件はあれど、
ここよりも私たちの理想に近い物件は、絶対に見つからない自信がありました。
それくらい、この物件は、私たちのハートを射抜いてしまったのです。
なんという恐ろしい縁でしょうか。

そして、それから、私たちのニューマーケット通いが始まりました。
手に入れたい気持ちだけでは、どうにもなりません。
私たちは、「この店を手に入れるべきだ」と強く思える「理由」が欲しかったのです。
「欲しいから買った」でビジネスがうまくいくほど、世の中は甘くありません。

どれだけ人通りがあるのか?
昼と夜の違いは?
平日と週末の違いは?
まわりの店はどれだけお客さんがはいってるのか?
同じエリアにあるレストランの客層は?
同じエリアにある日本食レストランは?
またその客層と値段帯は?

たとえ店が大きくても、家賃が高くても、
私たちが、「ここでやっていける」と思える何かが欲しかったのです。
そして、ニューマーケットに通えば通うほど、ますます「この店を巽にしたい」という気持ちが強くなっていきました。

気持ちはもう決まっています。
あとは、誰かが背中を押してくれればいい。
自分で踏み出すには、あまりにも大きな賭けでした。
賭けでビジネスを始めるのはあまりに危険ですが、挑戦がなければ成功はありません。
結局、私たちは、誰かに背中を押されるかわりに、
自分たちのニューマーケット通いから掴んだある程度の「確信」を持って、決心しました。
そして、遅かれ早かれそうなることも分かっていました。

「ここで巽を再生しよう。いや、巽を再生するのはここしかない」

そして、現在、交渉がやっと始まりました。
まだどうなるか分かりません。
交渉決裂するかもしれませんし、横から出てきた他の人に持って行かれるかもしれません。

でも、オークランドに来て3日で家が決まって、
10日で理想の物件に出会えるなんて、
まるで、何かに導かれているような気すらするのです。
この店は、まるで巽になるために、ここで私たちを待ってくれていたようにすら感じました。

ご縁があれば、このまま決まるでしょうし、決まらなければ、そういう運命だったと思うことにします。

まだまだどうなるか、目が離せませんが、どうかうまくいきますように!

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