クライストチャーチでは、一度も聞かれたことなかったのに、
オークランドにきてから2ヶ月で、すでに10回は聞かれたこと。
「この店のスペシャリティは何?」
最初は、あまり気にしていなかったのですが、
あまりにも聞かれるので、これはさすがに気にしたほうがいいんではないかと思い始めました。
「この店のおすすめの料理はなんですか?」っていうのなら、
そりゃ、お客様の好みに応じて、いろいろおすすめするんですが、
「スペシャリティ」というからには、
「この店でしか食べられないもの」を意味します。
もちろん、他の店にあってもいいですが、
この店のが突出して一番でなくてはいけません。
巽のスペシャリティってなんだろう。って考えた時、
巽にしかないデザートはあるんですが、料理では、そういうものは特にはありません。
もちろん、照り焼きサーモンや、ビーフステーキも、
他の店で出しているのとは違い、オリジナリティを出してはいますが、
でも、「巽でしか食べられないもの」ではありません。
別のお客様に言われたことは、
「せっかく他の店とは違うものを出しているのに、料理名が普通でもったいない」ということです。
でも、ビーフステーキはビーフステーキだし、
照り焼きサーモンは照り焼きサーモンだし、
この辺、もうちょっと英語的な工夫を凝らすべきなんでしょうね。
料理名はさておき、その料理自体が「巽にしかない」というもの。
残念ながら、ないかもしれません。
というのも、クライストチャーチの時には「巽にしかないもの」がありました。
例えば、牛タタキのソースがポン酢ジュレなのも、スペシャリティでしたが、
今では、ハウスかどこかで市販までされちゃってますよね。
巽風サーモンアボカドロールにしても、クライストチャーチでは人気でしたが、
オークランドではどこでもやっているので、やめました。
レンコンの金平も大人気で、レンコンなんて食べたことないとい人が、巽でそのおいしさに出会い、
5人前とかテイクアウトをしていくローカルの人もたくさんいましたが、
オークランドでは、レンコンなんて、当たり前。
鹿肉のタタキも人気ありましたけど、これは完全に和食じゃないし。
あとは、鹿舌の煮込みとか、霜降り牛のルイベとかも、
シェフスペシャルでやってたけど、
スペシャリティっていうと、こういうツマミっぽいものじゃなくて、
もっと「料理」でなければいけないような気がします。
そう。つまり。
クライストチャーチでは「巽にしかない」と言われていたものが、
オークランドではどこにでもあって、
まったくもってスペシャリティにならないのです。
唯一、オークランドにもないもので、お客様にも評判が良いのが、
デザートの「抹茶フォンダン」なんですが、
スペシャリティがデザートってのも、なんか違いますよね。
確かに、巽でしか食べられないデザートっていう意味では、スペシャリティなんですが。。。
ここでまた、オークランドとクライストチャーチのレストランに対する視点の違いというものを、ひしひしと感じ、
「このままではいけない」
と、思うのでした。
でも、スペシャリティなんて、完全に「料理」ですから、
私がどんなに悩んでも、ダンナに頑張ってもらうしかないんですよ。
iPhone という新しいおもちゃを手に入れてしまった今、
料理研究が二の次になってやしませんか?
「いつかやろう」ではダメなんです。
それでは、今きてくれたお客様を逃してしまうかもしれません。
そういうお客様がもう一度足を運んでくれるかどうか分かりません。
はじめてきてもらったときに心を掴まなければ、二度足を運んでもらえないのです。
とはいっても、一朝一夕で「スペシャリティ」といえるに十分なものをつくりあげることは容易ではありません。
それは分かっていながらも、「1日でも早く。。。」と気ばかり焦るのです。
クライストチャーチでのんびり過ごしすぎてしまったのかもしれませんね。
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