先日の話し合いから1週間もたたないうちに、
MD(マテリアルダメージ)の支払額明細が届きました。

マテリアルダメージとは、私たちがクライストチャーチの店で所有していたけれど、
地震で失ってしまったものに対して支払われる保険です。
最初は、どこからどこまでが含まれるのかが良く分かっていませんでしたが、
今日届いた明細を見てよくわかりました。

どうも、大きく分けて、以下の4つのカテゴリーがあるようです。
1、クライストチャーチで持っていたけど失ったもの
2、クライストチャーチの店にあったものを運び出すのにかかった費用
3、クライストチャーチから持ってきたけれど、壊れてしまっていて修理した費用
4、店にあったけど、使えなくなってしまった食材

2、3、に関しては、実際にかかった費用ですが、
1の「クライストチャーチで持っていたけど失ったもの」と、
4の「店にあった食材」というのが、一体どこまでカバーされるのかということが、一番の問題でした。

今までの聞いた話だと、
店が潰れたらすべてカバーされるけれど、
店が残っている場合は、「備品は全部使える」と判断されて、
保障を受けるのは、なかなか難しい。ということでした。
確かに、クライストチャーチの巽は、ビル自体のダメージはほとんどなく、
店内で壊れたものも、グラスや皿以外はほとんどありませんでした。

でも、私たちの場合、地震で壊れたものよりも、
地震のあとの水漏れなどによる影響で、カビてしまったもののほうが、随分多かったのです。
つまり、布製品、木製品は、ほとんどダメでした。
布製品でいえば、テーブルクロスやおしぼり、制服など。
木製品でいえば、籐でできた照明などです。
当然食材は、冷蔵冷凍ものは全部だめ。
乾物関係はネズミに食い荒らされ、ドリンクは、割れるか、無事でも賞味期限の切れてしまったものばかりです。

まず、食材に関しては、地震の日から一ヶ月遡り、仕入れたもののリストを作りました。
ものによっては、一ヶ月前に仕入れてまだ使い切ってないものもありますし、
一ヶ月の間に何度も仕入れているものもあります。
これらを、「何月何日に仕入れて、未開封」とか「半分使った」とか、「賞味期限切れた」とか、
全部リストにする作業は、結構面倒くさいものでした。
しかも、食材の価格と言うのは、そんな高額ではないので、
作業の割には、金額的にそれほど報われないのでは?と予測していました。

そして、闇雲になんでもリストに入れるのではなく、
未開封とか半分使ったとか、何度も仕入れているものは最新のもののみ請求とか、
私達は、割と正直に、そして正確にリストを作成したため、
それが評価されたのか、まったく突っ込まれることなく、請求額そのままが支払われることになりました。
本当によかった。
チリも積もれば山となる。です
冷凍食品が$2,600
冷蔵食品が$4,300
酒類が$5,300です。
本当はもっともっとありましたが、きちんと説明ができる、分かる範囲だけ請求したのが、
かえって良かったのかもしれません。

これらの費用は、どのみち消耗品ですし、地震の前にすでに買っていたものですので、
「失った感」が少なく、保険が支払われることになって、なんだか得をした気分になりました。

そして、店にあった機材ですが、
これが、前回の話し合いで、驚くほどやすやすと認可され、
私たちが請求していなかった機材にまで、どんどん支払いが決定されていきました。

その「支払いの基準」について、私はまったくよく理解していなかったのですが、
例えば、
冷蔵庫$2,500→壊れた→新品買った$3,000 だった場合、
支払われるのは、$2,500なのか、$3,000なのか???

洗浄機$500→壊れた→修理したら$1,500もかかった!!!
この場合は、もとの分$500か?実際にかかった$1500なのか?

会計士さんが用意した商品リストは、
私たちが過去に購入した$500以上の機材のリスト。
会計士が作成しているわけですから、ここにごまかしはありません。
そして、私たちは、そのリストに、
「故障。新品購入$2,000」とか
「故障。修理して$1,500」とか
「破棄。現在はまだ不要なので新品未購入」とか
いろいろコメントをしていったのです。

で、結果はどうだったかというと、
「私たちが失ったもの」を保障することには間違いないのですが、
「それがいくらしたものなのか?」ということよりもむしろ、
「同じものを買ったらいくらかかるか?」という
「再調達価格」に対して保険が支払われるようなのです。

なので、例えば3年前に$2,500で購入した冷蔵庫。
中古になったら価値は$1,000程度かもしれません。
でも、新品を$3,000で購入したら、「再調達価格」として、$3,000が支払われるのです。

それと同じで、3年前にたったの$500で買った中古の洗浄機が
修理に$1,500かかったとしても、「あったものを修理して使う」ということが優先され、
ちゃんと$1,500が支払われるのです。
あー、こんなことなら、新品を買えばよかった。。。

そして、炊飯ジャーは2つあったのですが、
ご飯が入りっぱなしで何ヶ月も放置されたため、破棄しました。
でも、今は1つしかいらないので、まだ1つしか購入していませんでした。
だけど、保険屋さんは、
「失ったのは2つなので、1つしか買ってないけど、今回購入した新品の炊飯ジャーの料金で2つ分支払うよ」
というのです。
彼は神でしょうか?

この「再調達価格」というものを、よく理解していなかった私は、
彼の口から繰り出される、支払いの判断基準には驚かされるばかりでした。

例えば、$800した食器棚。
お金もないので、自分で材料を買ってきて、$150で作りました。
でも、これも$800の方が支払われるんだそうです。
節約をした甲斐があったというものです。

冷蔵庫は、3台修理して、全部で修理代が$1,500かかったんですけど、
それを保険屋さんが見誤って、
「じゃ、一台は修理代が$1,500ね。OK。じゃ、あとの2台は、購入した時の金額$2,500×2でOK?」
というのです?
バカ正直な私たちは、
「いえいえ、3台とも修理して、全部で$1,500ですよ!」と申告しました。

まあ、こんなかんじで、機材リストを1つ1つチェックしながら、金額を決めていきました。

次は、「クライストチャーチの機材を救出し、オークランドへ移送するのにかかった費用」です。
これは、「実際にかかった金額」ですので、
請求額が丸ごとが支払われます。
でも、これが、複雑で、
「クライストチャーチの機材を救出するのにかかった費用」は、
MD(マテリアルダメージ)保険でカバーされるのですが、
それを「オークランドへ移送した費用」は、
BI(ビジネスインターラプション)保険でカバーされるそうなのです。

なので、今回の明細には、
「クライストチャーチの機材を救出するのにかかった費用」のみが記載されていました。
例えば、店に入るのに購入した、ヘルメットや長靴、懐中電灯などもカバーされます。
あとは、中にはいるのに必要だったエンジニアの費用$2,000や、
市役所で店舗清掃した時の費用$2000、
わたし達が、オークランドからクライストチャーチへ行った飛行機代など。

でも、これらの費用は、言ってみれば、地震がなければまったくもって支払う必要のなかったお金で、
それを、少ない貯金から捻出して支払ったのです。
いわば「あー。やっとかえってくる」という思いでした。

そんなわけで、
半分は、地震の前に購入していたので、「失った」かもしれないけど、懐が痛んだ感じはそれほどしておらず、
反対に、地震の後にかかった費用は、本当に有り金をはたく感じで捻出した費用なので、
それらが同時に保障され、なんだか、得したような、やっとかえってきたような、複雑な気分です。
どちらにしても、思いがけずに良心的だった保険屋さんに、感謝感謝です。
でも、甘いのはここまで。
これからが本番の「BI保障」です。

地震が起きた日から、TATSUMI が再開するまでの、
2月22日~10月17日までの営業保障は、すでに支払われました。
では、次の「BI保障」は、何に対してかというと、
これがまたよく理解していないのですが、
「失った店を再開するのにかかる費用」が支払われます。
とはいっても、例えばもともと5万ドルの価値しかなかった店を失って、
50万ドルの価値がある店を作っても、50万ドルが支払われるわけではありませんし、
元の価値である5万ドルすら、支払われる保障はされていません。
というのも、TATSUMI のような、店が完全に残っている場合には、
あの店を再開するのに、それほどの費用はかからないからです。
では、何を持ってして保険金額を決めるのか、というと、
「Fit Out」という、いわゆる「持ち出せないもの」が重要なポイントとなります。
例えば、備え付けの換気扇とか、新たにつけたガス管とか、バーカウンターとか、トイレとか、
あそこの箱であらたに取り付けたものに、一体いくらかかったのか?ということです。
お店が地震でなくなっていれば、「お店の価値」に対して支払われますが、
お店が残っているので、あそこに残っている持ち出せないものの金額が計算されます。

これが、今回一番保険屋さんに交渉しなければいけない部分です。
他のものと違って、あまりに価格が曖昧だからです。

これはいつ決定がくだされるのか、まだ未定ですが、
また、進捗状況をアップデートしていきたいと思います。

Metroの、1月2月合併号に、広告を載せることにしました。
写真ができました。

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