師匠の教え


ークランドに来て、まだ間もない頃、
「オークランドで成功するための秘訣」
について教えられました。
その人は、尊敬に値する、成功者でもあります。

彼の教えはというと、、、

「他の店へ行ったり、本を読んだり、テレビを見たりして、
とにかく、常に情報収集をし続けなければいけない。
そして、”これはいい!”と思ったものは、なんでも取り入れろ。
でも、ただ取り入れるんではなくて、それをやってる店(人)よりも、
いいものにしなくてはいけない。
ただ、同じことをするだけなら、「真似」で終わってしまい、なんの価値もないけれど、
アイディアだけもらって、自分の感性を加えて、
オリジナルの店よりも、いいものを出したら、
その時点で、いいものを出したほうが勝ちだ。
そして、自分がやっていることが誰かに真似されたら喜べ。
それだけいいものを出していると言う証だ。
いいものは、どんどん共有していって、みんなで成功したらいいんだ。」

なるほど。
勉強になります。

人がやっていて「いい」と思ったものは、どんどん取り入れて、
自分なりのアイディアを加えて、自分自身のものにしていくことは、
決して悪いことではなく、むしろ、クリエイティブな作業だと思うのです。

わたしたちは、今、ランチメニュー改善のため、あちこちの和食店のランチを食べ歩いています。
真似をする気はありませんが「いい」と思える部分は、
TATSUMI流にアイディアを加えて、どんどん取り入れていこうと思っています。

もし私たちの新しいランチメニューが、どこかの店に似ていたら、
その店のランチを、私達が高く評価して、「少しでも近づきたい」と思ったからこそです。
まだまだ道半ばですので、どんな風に改善されるのかは未定です。

そんな中、「日刊ニュージーランドライフ」のマシューさんの記事で、
クライストチャーチで一番といわれる日本食レストランKINJIで、
刺身のつまがサラダとして食べれるように、ドレッシングが一緒に出てくる。
と書いてあるのを発見しました。
そして、マシューさんは、その心遣いに感動し、絶賛していました。

実は、この、刺身のつまをサラダとしてお客様に召し上がっていただけるように、
ドレッシングと一緒に提供する。というのは、
巽がもう随分以前からずっとやってきていることなのです。

私達がやってきたことを、KINJIさんのような素晴らしい料理人が、自分の店で取り入れてくれたこと、
本当にうれしいですし、それをマシューさんが絶賛しているのをみて、
自分のことのように嬉しかったです。

巽のお客様は、8割以上がローカルのニュージーランド人ですので、
刺身のつままで食べてくれる人は、本当に稀でした。
でも、食べてもらえないからと言って、そこを、値段の安いニンジンだけのつまにすることには抵抗があり、
いくら食べてもらえなくても、つまは大根にこだわっていたのです。

「なんとかして、刺身のつまを食べて欲しい」

そんなとき、当時一世を風靡していた「SOTO」のヘッドシェフの方のインタビューを、雑誌で見かけました。
彼の話には、わたしと同じ思いがつづってありました。
そして、「なんとかして、つまを食べて欲しい。という思いから、
大根の切り方を変えたり、盛り方を変えたり、いろいろ工夫して、
つまも”食べ物”であることを認識してほしいと思い、試行錯誤しました」
ということが書いてあったのです。

「そうか。つまも食べ物だということを認識してもらうにはどうしたらいいんだろう」

そして、私たちは、今までは日本のつまと同じように細切りにしていた大根を、
きしめん状に切り、見た目をサラダ風にして、
なおかつ、ドレッシングを一緒に出して、
「刺身を召し上がった後に、刺身の下の大根サラダにかけてお召し上がりください」
と言って提供するようにしたのです。

ドレッシングは、試験管に入れることで、お客様の興味をそそり、
出した瞬間に「この試験管は何?」と、興味津々で聞いてくれるのです。
そこで、これがサラダ(つま)のドレッシングであることを説明すると、
意気揚々とつまにかけてくれます。

そして、、、
魚を食べた後に、大根サラダでさっぱり仕上げるという食べ方が、
多くのお客様に支持され、そのアイディアに、たくさんのお褒めの言葉をいただきました。
ドレッシングは、大根サラダを、よりさっぱりとお楽しみいただけるよう、
「和風柚子胡椒ドレッシング」にしました。

Kinjiさんのところは、マヨネーズベースのドレッシングとのこと。
「SOTO」のシェフがインタビューで話した
「つまを食べ物として認識して欲しい」というところからアイディアをもらい、
巽では、刺身と一緒にドレッシングをだして、
つまをサラダとして召し上がってもらえるように仕上げました。
そのアイディアは、今度はKinjiで採用され、お客様に広く愛されている。
「いい」と思うものが、こんな風に連鎖して、広がっていくのは、
本当に嬉しいことですね。

ちなみに、Kinjiさんは、本物の寿司職人ですから、
刺身盛り合わせの美しいことと言ったら、
このNZで右に出るものはいないと思います。
その素晴らしい刺身に、「ドレッシングでつまを食べてもらう」というプラスアルファで、
Kinjiさんの刺身は、完全に右に出るものはいなくなったのではないでしょうか。

私たちも、頑張って、もっともっといいものを目指していかなければ!

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