居候一匹

現在、我が家には、居候猫シンバくんがいます。

そもそも、シンバくんは、去年の６月、仕事帰りに偶然街で見つけた子。

そして、偶然持っていた捕獲器を使って捕まえたんです。飼い猫かどうかチェックするために。

結果、マイクロチップも入っていなくて、野良猫だということが分かったのですが、結構肥えている大きい子で、どうも、KFC付近に住み着いて、人間の食べ物で育ってきたみたい。

保護猫団体に連れて行ったのですが、全然猫の餌を食べなくて、しかも、隠れてずっと姿も現さず、誰も見ていないときに出てきて餌を食べる感じ。猫の餌を食べないので、火を通した鶏肉とかをあげていたみたいです。

ここまで人慣れしていないと、飼い猫にするのは難しいということで、去勢手術だけして、元住んでいた場所に戻そう。ということになりました。
ところが、ここから一か月もの間、動物病院に連れて行くことができなかったのです。
というのも、昼間は隠れて姿を現さず、ケージの中にトラップを仕掛けてもまったく引っ掛からず、結局トラップにかかってくれたのが一か月後。そこでやっと動物病院に連れて行って去勢できたのです。

これだけ警戒して人に慣れない子ですから、去勢してすぐに、元居た場所に戻すことになりました。でも、その場所というのは街のど真ん中。人も多いし、車も多いし、猫にとっては危険な場所です。でも、この子にとってKFCの隣にある公園で暮らし、KFCのお客さんにごはんを分けてもらうことが幸せなら、その方が良い。ということになったのです。

そして、去年の７月に、街に戻すとき、この子を捕獲したわたしたちに名づけの権利があるとのことで、ダンナが「シンバ」と名付けました。街の猫王として、たくましく生きて行ってくれますように。

町へ放す時、この子がきちんと管理されて、去勢済みの子だと分かるように、耳がカットされました。日本でいうところの「さくら猫」ですね。

店の前で放しましたが、KFCの方へ走って行って、それからシンバを見かけることは一度もありませんでした。

ところが、１１月頃になってから、シンバの目撃情報が続発。SNS上に「KFCの隣の広場に、とても人懐っこい猫がいますが、誰かの飼い猫ですか？」という書き込みが、シンバらしき写真と共に投稿されるようになったのです。それが、週に２，３度のペースで投稿されるようになり、突然シンバが多くの人に認識されるようになったのです。７月に解き放った時から４か月ほど、一体どこで何をしていたのでしょうか？そして、あれだけ人を警戒していたのに、「人懐っこくてかわいい」と話題になるほどまでに性格まで変わったシンバ。正直、本当にシンバかどうか半信半疑でした。

そして、シンバの投稿が増えるにしたがって、「こんな危険な街中に猫を放しているなんて無責任だ」という書き込みも増えて行ったのです。
でも、捕獲してから解き放すまでの間、とてもじゃないけど、手を付けられる状態ではなかったシンバは、あの時は、街に戻すしか方法がなかったのです。でも、今ではまるで別の猫のように人懐っこいらしいので、確かにそれなら「なんでこんなところに放しているんだ」と言われてしまっても仕方ありません。

しかも、年末年始は、街に観光客があふれかえり、花火があがったり、酔っ払いが徘徊したり、カウントダウンで大変な騒ぎになることは分かっていましたので、年末年始だけでも、シンバの安全のために、一度捕獲しよう。ってことになったのです。

でも、最初に捕獲してからの一か月を知っているわたしたちは「そんなに簡単に捕まえられるの？」と半信半疑。だけど、SNS上にアップされる写真の中のシンバは、いろんな人に抱っこされて甘えているんです。これなら捕獲できるはず。

そして、捕獲器は持たずに、ケージだけ持って、KFCの隣の広場に行ってみると、いるではありませんか！シンバが！しかも、寄って行ったらすり寄ってくるではありませんか！
というわけで、そのままひょいと持ち上げて、ケージに入れて、ものの１０秒で捕獲。
そのまま家に連れて帰りました。こんなに簡単でいいの？

というわけで、去年の年末に我が家に連れて帰り、バックヤードエリアで暮らし始めたシンバ。
最初の数日こそ隠れていて、ごはんも食べずに心配しましたが、一度ちゅーるでおびき寄せてみたら、やっぱりお腹を空かせていたのか、そのあとはエサも食べてくれるようになりました。

一度心を開いてくれたら、あとはあっという間。街でたくさんの人に可愛がってもらえるようになってから、いつのまにか、甘えん坊のかまってちゃんに変貌していたのです。
もう、甘えて甘えてたいへんなことになってますよ。わたしたちがかまってあげられる時間は、ほんのひと時なので、寂しいのかもしれませんね。街にいれば、だれかがかまってくれたでしょうから。

シンバ初日

シンバ２週目

シンバ３週目

シンバ４週目

そして、最近は、おうちトレーニングもしているんですよ。

ここまで人に慣れて、猫の餌も食べるようになって、家の中でも過ごせるようになったら、もう街へ戻さずとも、誰かの飼い猫になれると思うんですよ。去年の６月に捕獲した時にはとても無理だと思ったけど、それから街でみんなに可愛がられて、人間を恐れなくなったのだと思います。

ただ、一つ問題が。。。それは、もと野良猫の性というか、ごはんがあったらあるだけ食べちゃうんですよ。野良猫だと、ある時に食べておかないと、次いつ食べられるか分からないですからね。
その結果、シンバがこの一か月で、めっちゃ太ってしまったんです！

一か月前はこんなにスリムだったのに、今では巨大猫になりつつあります。

基本、ごはんは朝晩２回で、ウェットとお肉をあげているんですが、我が家では、それとは別で非常用にカリカリを常備しているんです。ごはんのときにいなくて食べられなかった子とかいたりしますからね。でも、そのカリカリって、非常用なので、そんなになくなるものじゃないんですよ。昼間は寝てる子が多いので、あまりごはん食べませんし。
ところが、シンバくんが猫窓を通れるようになって、家の中に入れるようになってから、家じゅうのごはんを食べ尽くしてしまうんです！みんなの食べ残したウェットもキレイに食べ尽くしてくれて、さらに非常用カリカリなんて、一粒残らず全部食べてしまうんです。困ったものだ。。。。
一か月でこんなにも大きくなってしまうなんて。食事を減らしても非常用カリカリ全部食べちゃうんで、とりあえず、カリカリを「ダイエット用」と「歯磨き用」の２種をミックスしたものに変更してみました。やっぱり飢えを知ってる子は、食べ物に貪欲なのでしょうね。。。

というわけで、この経緯を保護猫団体の人にも説明し、シンバの引き取り先を探してもらえるようにお願いしました。わたしたちは、それまでのあいだ、シンバをここで預かることは全然問題ありません。バックヤードの猫ちゃんエリアが、こんなに役に立つ日が来るなんて！